鳩の日記

彼には程遠い微塵もない語彙力で日々思ってることを綴ります

自然の力、オリエンテーション

4月、新学期。

入学してから4日目にしてすでに素で話すことができる友達が出来た。クラスの子達はみんなは優しいし、面白い子達ばかり。担任もちょっと話が下手だなと思ってはいたけど、私が持っていた高校の先生へのイメージとは反対に、優しい先生である。

初めての行事である3泊2日のオリエンテーションがあった。少年自然の家に泊まり、生徒同士の親睦を深めると共に、規律のある進学校である当校の厳しさを、義務教育という縛りから解放され、浮かれている生徒たちに教えるという理念の元行われた。

みんなでひとつ屋根の下食事をしたり、お風呂に入ったり寝る前に恋バナをしたりなどというのはオプションで、メインイベントはクラスで一致団結する集団行動であった。

鮮やかな青空と、例年とは遅れて満開な桜に囲まれた、施設のグラウンドに1年生全員が集まった。集団行動とは男女横四列に並びみんなでいろいろ動きを合わせる。練習時間は一日目と二日目合わせて約4時間。集団行動には試験があって、不合格を貰ったクラスは合格まで練習させられる。私はこれまで体育祭などで、クラスのセンターで踊ったり、自分から立候補してリーダーになったり前になる立場になってきたが、物覚えは悪く、何度も練習しないとできないタイプなので4時間しかみんなで練習できないと思うと心細かった。だが、私は一番前の目立つ位置になってしまった。みんなで順々に動きを覚えていく。周りの子と振り付けを教えあった。休憩の時には他愛もない話もした。集団行動も新学期も、順調に進み出した。

二日目、試験当日。この日は90分の練習の後、試験本番だった。

私は動きは覚えたものの、慣れない環境で寝不足であまり集中できずにミスが続いてしまった。私を責めることをする人はいなかったものの、できない自分が嫌になってしまった。恥ずかしいミスもした。本当にもうやめたかった。高校では元気なキャラでいきたいという薄い仮面はとうに破られ、口角はまるでy=-ax²。もう涙が出そうだった。

こんなくだらない行事で、4日前であったまだ関係の浅い友達の前で、泣きたくなかったので、どうにか涙を堪えようと上を向いた。

すると自然の色とは思えない綺麗なピンクが目に入った。木の幹は一面がピンクでおおわれていて、それが何本も連なっている。春のそよ風に乗って落ちていくたくさんの花びら。満開の桜の花びらは一人では散らない。そう思うと私もひとりじゃないって気がついた。散ってしまうの比喩には悲しい意味を持つことが多いけど、そうじゃなくて、桜の花びらが木から飛び立つように飛んでいくように、私もクラスのみんなと飛んでいけるような気がした。

晴れ続きで乾いたコンクリートの駐車場に桜が舞った。

 

PS.その後、よく分からないけど先生に怒鳴られ、クラスのみんなで号泣しました。みんなで先生の愚痴を言って、クラスの仲は深まりました。